夫婦脳
夫心と妻心は、なぜこうも相容れないのか
(参照:著・黒川伊保子)
今回は夫婦脳を参考に婚活を考えてみました。
男女の脳は、違う。
けれど、夫婦の脳は、もっと違う。
一般の男女をはるかに超えて、すれ違っているのである。
夫婦ほど、脳科学的に興味深い関係も珍しい。なにせ、生殖相性(遺伝子配合の相性)は、人としての相性に反比例する。男女は、生殖相性の良さを察知して恋に落ちるので、「激しく愛し合った二人」ほど、人間相性は最悪ということになる。
生殖相性を決定するのは、遺伝子の免疫抗体の型。これは、生体としての反応の傾向を決定する。例えば、いきなり聞き慣れない爆音が起こったら、とっさに駆け出すのか、しゃがむのか。夫婦というのは、このような無意識の反応が同じにならない組合せになっている。そうすれば、どちらかが生き残れるし、子孫に残す遺伝子の組合せも増えるからだ。
動物学的には理にかなった組合せだが、心理学的には、ことごとく予想を裏切る行為に出るので、癇に障ることになる。
どちらかが寒がりなら、どちらかが暑がり。どちらかが神経質なら、どちらかが無神経。
つまり、恋に落ちる男女は「永遠に快適に過ごせる組合せ」ではなく、「子孫の生存可能性を上げる組合せ」に過ぎない。
当然、生殖行為に至らないといけないので、一定期間は、相手のあらさがしをしない。
“あばたもえくぼ”期間が用意されている。しかし、その期間を過ぎると、「この人、何考えているのかしら?」「なんで、そうなるかなぁ」というため息が急に増える。
長く暮らせば、ことごとくイラつく相手になり果てる。そんなこと、当然の成り行きなのに、この世の多くの民族には、結婚という契約があり、人間相性の悪い二人が、次々に縛られてゆく。これはいったい、何の罠だろうか。
しかし、そもそも、夫婦という関係を「快適に過ごせるパートナー」だなんて、思わなければいいのである。ことごとく違う反応をしてくれる、優秀なセンサーアラームだと思えば「生きるか死ぬか」のサバイバルのパートナーとしては、なかなか頼りになる。
この本では、男女の違いに加えて、かつて恋した男女の脳に起こる現象を精査し、「恋に落ちた男女が、共に長く生きる」コツを探ってみた。二十一世紀のすべてのカップルの福音の書になればいいなぁと祈りつつ。
二十一世紀の人生は長い。夫婦である人も、今は夫婦でない人も、一度ぜひ精読いただきたい。夫婦であって良かったと思うか、夫婦になんてならなくて良かったと思うか。それは、読んでからのお楽しみ、である。
このように書の「はじめに」のページで記載されています。
私が目次で目を引かれたのは、たくさんのテーマの中で下記の項目です。
夫婦の法則
・夫婦は旅先で喧嘩する
・恋は人生の試練である
・夫婦は一心同体
・女のおしゃべりは世界を救う
・夫を立てることの効用
・etc
プロポーズ・アゲイン
・答えようのない質問
・愛の魔法
・七つの法則
・etc
その中で特に「なるほど、そうなのか」と感じたのは
・「答えようのない質問」です。
女は、答えようのない質問をする生き物である。
・・・・とは、わが人生五十年を振り返って、つくづく思うことである。
「あなたは、なぜ約束を守れないの?」
「忘れてしまったんだよ、忙しくて」
「(いらっ)私は忙しいくらいじゃ、家族との約束を忘れたりしないわ。あなたは、なぜ約束を忘れるのかしら?」
「う~ん、なんとなく、かなぁ」
「(むかっ)あなたって、どうして、そういう人なの?」
「・・・・・・」
このwhy系の質問は、たいてい積み重ねられていき、後半にいくほど答えにくくなる。
「仕事と私、どっちが大事?」「お義母さまと私、どっちが大事なんですか」なんていう
which系の質問もある。「そりゃ、君どっちも大事だろう」と優等生の回答をしても褒めてもらえるわけでもなく、「君だよ」と精一杯のお愛想を言っても「しらじらしい」と一蹴される。
と書かれています。
婚活中の皆さんにも、ぜひ一読をお勧めいたします。
『夫婦脳』
著者:黒川伊保子
発行:新潮社(本体460円)
細かな出来事をすべてことばにする妻に、まとめて話ができないのか、と眉間に皺を寄せる夫。しかし、男性に比べ、女性は感じたことが即ことばに上る脳のしくみを持っている。
これは、家事や子育てをこなすために欠かせない能力。そんな違いを理解できれば、ときめきの時代を過ぎた夫婦も、お互いが愛しく思えてくるもの。
脳科学とことばの研究者がパートナーたちへ贈る応援エッセイ。